本学が所蔵する浮世絵版画コレクションは、本学の前身である京都芸術短期大学の第二代学長・大江直吉氏(1906~)からのご寄贈によるものです。 大江氏は、親戚にあたる版画家徳力富吉郎の手ほどきを受け、これが作品収集のきっかけとなったといいます。 集められた作品のほとんどを、明治の浮世絵師豊原国周(1835~1900)の役者絵作品が占めていますが、これは国周の基礎文献である『豊原国周役者絵撰集』を入手されたことが縁となりました。
豊原国周は、月岡芳年(1839~92)、小林清親(1847~1915)と共に“明治浮世絵の三傑”とされ、あるいは、後世、「明治の写楽」とも激賞された浮世絵師です。 しかしながらこの絵師の作品のまとまったコレクションは公的機関には存在せず、本コレクションはその意味において、極めて貴重な作品群と言えます。
本学では、大江氏の「教育研究に役立てたい」というご意思の下、1983年10月26日を第1期とし、その後9期に渡り全コレクションのご寄贈を受けました。